MiSHŌ Residency 03  

    
        (October 2025)




                          James Talambas
         ジェームス・タランバス
               音楽家/アメリカ



            Kornelija Žalpytė
          コーネリア・ジャルピーテ
         イラストレーター/リトアニア



                   Reto Pulfer
                   レト・プルファー
                   アーティスト/スイス
 
                        Austė Zdančiūtė          
          アウステ・ズダンチューテ 
駐仏リトアニア共和国大使館文化担当官
       リトアニア





JAMES TALAMBAS ジェームス・タランバス  EN

ジェームズ・タランバスは、音と時間を扱うアートを空間的かつ物理的な素材として探求する、マルチディシプリナリー(多分野型)のアーティスト/作曲家です。
アメリカの作曲家エレン・フルマンとポーリン・オリヴェロスに師事し、建築や彫刻を一つの楽器として捉えた共鳴や音響によって形づくられるサイトスペシフィックな作品を制作し、没入感のある情感豊かなインスタレーションやパフォーマンスを展開しています。

また、テクノロジーとアヴァンギャルドに取り組む音楽家やアーティストたちのコラボレーションを促すべく、
ギャラリー・スタジオ・リサーチスペース・実験的リスニングルームを備えた「New Media Contemporary」を設立しました。

タランバスは、エレン・フルマン、マリーナ・ローゼンフェルド、クリスティーン・サン・キム、ダラス交響楽団、フォートワース・オペラなどとコラボレーションを行ってきました。
その活動は、NPR/KERAの「Art & Seek」、Texas Tribune、Dallas Observer、Sound Live Tokyo などでも紹介されています


【活動内容】

「実生(みしょう)」――すでにあるものから新たに芽生える若木というこの言葉は、今の私の制作の在り方と深く響き合っています。
私はもう一度内側へと意識を向け、 これからの作品のかたちを静かに聴き取る時期にあると感じています。

藤野が持つゆるやかな時間の流れ、アーティストの拠り所としての役割、そして再生と循環

を重ねる地域の自然と文化は、そうした“耳を澄ます”ための豊かな土壌のように思えます。

この滞在では、藤野の音に身を浸し、森や山裾が響き合う音だけでなく、建築空間に潜むかすかな気配にも耳を傾けたいと思います。この土地に息づく長い芸術の歴史――壁の内側に積み重ねられた声や上演、集いの余韻が、空間の中に静かに残っているように感じるからです。

自然と人が形づくったその響きに心を合わせることで、この地域が育んできた芸術的精神の記憶を映し取り、次の作品へと受け継ぎながら、自身の表現を新たに方向づけていきたいと考えています。


関連イベント】

▶︎ Deep listening Sessions James Talambas x Ton
【日時】10月11日(土)17:00-19:00(open 16:30)
【場所】kadonari 

▶︎ MiSHŌ Residency 03 オープンスタジオ
10月25日(土)・26日(日)13:00-17:00を予定











 KORNELIJA ŽALPYTĖ コーネリア・ジャルピーテ EN
コーネリヤ・ジャルピーテ(1998年生まれ)は、リトアニア出身のアーティスト、イラストレーター、教育者で、主に児童向け絵本やコミックを手がけています。現在、4冊目となるイラストブックの出版に向けて制作中です。

幼児教育や学校教育に携わる教師として約8年間活動したのち、イラストレーションとクリエイティブ・ワークショップに専念。劇場や展覧会の舞台美術など、彫刻作品やディスプレイ制作を通じて多様なプロジェクトにも取り組む、多才なクリエイティブ・プロフェッショナルです。

自身の楽しみとして描き続けてきたモチーフの中心には、自然と昆虫があります。2024年には昆虫をテーマにしたシリーズが、世界的な児童文学イベント「ボローニャ児童図書フェア」に選出。これらのイラストは、日本の板橋区立美術館をはじめ世界各地で展示されています。

コーネリヤは、多様な自然環境を楽しみ、そこから得たインスピレーションをイラストレーションとして表現することを創作の大きな目的としています。

【活動内容】

レジデンス期間中、コーネリアは、藤野で出会った自然や人々の物語からインスピレーションを得た新しいイラストレーション・シリーズを制作します。
植物の模様、色彩、多様性など、自然を観察する時間を過ごすとともに、地元の子どもたちや大人を対象に、自然からインスピレーションを得てユニークなイラストレーションやキャラクターを創作する方法について学ぶクリエイティブワークショップを開催します。
レジデンスの最後に開催されるオープンスタジオでは、滞在中に制作したイラストレーションを展示します。これらの作品は後日リトアニアでも展示される予定です。ė



【関連イベント】

▶︎ぐるっとお散歩篠原展 2025
※参加内容未定
【日時】10月12日(日)・13日(月・祝)
【会場】新井家

▶︎森の小さなキャラクターを描く クリエイティブ・イラストワークショップ
【日時】10月18日(土)13:30-4:30
【場所】MiSHŌ Houseと周辺の自然
※詳細は後日公開

▶︎ MiSHŌ Residency 03 オープンスタジオ
10月25日(土)・26日(日)13:00-17:00を予定











Reto Pulfer レト・プルファー EN
レト・プルファー(1981年、ベルン生まれ)は独学のアーティストで、古いベッドシーツや特大サイズの布、自作のテントなどを素材にした没入型インスタレーションを制作しています。彼の実践は、絵画、彫刻、フィクション的な文章表現、植物を用いたインスタレーション、天然染料、テキスタイルの手仕事、組みひも、サウンドスケープ、パフォーマンスなど多岐にわたります。現在はドイツのウッカーマルク地方を拠点に活動。

主な個展に、クンスト・ハレ・ザンクトガレン(2024年)、スパイク・アイランド(ブリストル、2015年)、ジュネーブ現代美術センター(2015年)、
スイス・インスティテュート(ニューヨーク、2013年)など。グループ展には、ミグロ現代美術館(チューリッヒ、2025年)、リバプール・ビエンナーレ(2021年)、ラファイエット・アンティシパシオン(パリ、2020年)、パリ市立近代美術館(2019年)、カステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館(トリノ、2018年)、第10回ニカラグア・ビエンナーレ(2016年)、ハウス・デア・クルトゥーレン・デア・ヴェルト(ベルリン、2015年)などがある。

リサーチ・プロジェクト  「雑草は編むことができるのか?」 レト・プルファー

人は植物の繊維を用いて籠やリボンを編みますが、雑草そのものが「編む」という行為をすることはあり得るのでしょうか。
技術的に編み込みとは、要素が繰り返し交差し、結びつくことでより強い結束を生み出す動きのことを指します。

日本には豊かな植生があり、他国では侵略的外来種とされる、成長の早い地下茎性やつる性の雑草が多く存在します。かつて私はイタドリの地下茎を使ったインスタレーションを制作しました。イタドリは、日本の常に変化する火山の荒々しい山肌に自生する植物ですが、ヨーロッパでは競合する種が少なく、際立った繁殖力があります。今回私は、これらの植物を本来の生息地で観察したいと考えています。さらに「つる植物の王」とも呼ばれるクズにも注目します。クズは自然環境の中では他のつる植物と競いながらも、
圧倒的な繁茂力で植生を覆い尽くします。

このリサーチの一環として藤野に滞在し、日常生活におけるクラフトの役割と価値を探ります。アーティストとして、エコロジカルな素材の可能性を考察することは重要です。私はこれまでもリサイクル素材や竹、木、草、つる植物など地域に根ざした繊維素材を使った編みや籠作りを研究してきました。布を用いたインスタレーションでは、異なるテキスタイル技法を独自に組み合わせ、消費社会が生み出す廃棄物や自然への影響を問いかけています。

    ぐるっとお散歩篠原展
    ※参加内容未定
  【日時】10月12日(日)・13日(月・祝)
  【会場】新井家










 
AUSTĖ ZDANČIŪTĖ アウステ・ズダンチューテ EN
アウステ・ズダンチューテは、映画とドキュメンタリー・アートを専門とするインディペンデントの映画キュレーターであり文化プロデューサーです。

ヴィリニュス芸術アカデミーで修士号を取得し、「現代映画のアイデンティティと展示戦略:リトアニアの事例研究」という論文を執筆しました。

2011年から2018年までドキュメンタリー映画の映画祭プログラマーとして活動する傍ら、映画、音楽、出版、視覚芸術、ガーデニング、詩などを結びつける数多くのプロジェクトを主導。最近では、駐仏リトアニア共和国大使館の文化担当官(2018年から2025年)として活動し、フランスとリトアニアの機関や文化ネットワークの連携を促進しました。その仕事は、2024年秋、フランス全土で開催された「リトアニア文化シーズン」として実を結びました。

文化イベントの制作における学際的なアプローチの方法を追求し続けているアウステは、2021年にフランス中部の小さな村、ラヴォーディユーに文化・交流スペース「NAMAS」レジデンシーを共同設立。このレジデンス・プロジェクトは、現代の学際的アート、境界を越えた研究、実践的な実験と教育に焦点を当て、様々な実験的プログラムが現在も行われています。

リサーチ・プロジェクト 

MiSHŌ Residencyでのレジデンス期間中、アウステは改めてアーティスト・イン・レジデンス・プログラムの基本的な理念を探求し、地域に根差して展開されるアート・プロジェクトがどのように世界的な意義を持ちうるかを考察します。








 

MiSHŌ 03 Events


OPEN STUDIO 


   

オープンスタジオ参加アーティスト

・James Talambas  ジェームス・タランバス (音楽家/アメリカ)
・Kornelija Žalpytė コーネリア・ジャルピーテ(イラストレーター/リトアニア)
・Reto Pulfer  レト・プルファー (アーティスト/スイス) ※本人不在・作品展示のみ


【日程】10月25日(土)・26日(日)
【時間】13:00〜17:00
【場所】MiSHŌ House(日連564)
【費用】ドネーション



【会場】

MiSHO House (相模原市緑区日連564)

・高尾駅~各停で2駅の「藤野駅」から徒歩12分
・ローソン・スリーエフ藤野店の裏にあります。


【駐車場】



・藤野小学校の校庭側(山側)にある道からお入りください。
・道沿いの2台分と建物を正面に見て右側の駐車スペースのみ利用可能です。
・満車の場合は、相模川の反対側にある「マージナル藤野」駐車場をご利用ください。


プログラム概要

JAMES TALAMBAS ジェームス・タランバス (音楽家/アメリカ)

ジェームズは藤野に到着してまもなく、地元の音楽家Tonことチャールトンとともに10月11日にカドナリで行われたパフォーマンスのための制作に取り組みました。以降、彼は地域の環境や身近な素材に目を向けながら、藤野で行われるイベントに参加し、地域の音楽文化にも触れながら制作を続けてきました。
オープンスタジオでは、地元の竹を用いたサウンド・インスタレーションを発表します。
この作品には、地域に縁のある弦楽器の演奏者による録音素材も活用されています。

25日には、そのインスタレーション空間を舞台に、 それらの演奏者との
コラボレーションにより即興的に展開するライブパフォーマンスも予定しています。

【10/25 ライブパフォーマンス参加アーティスト】 
・矢島敏(沖縄三線/音楽家)
・水川千春(ライアー/アーティスト)



KORNELIJA ŽALPYTĖ コーネリア・ジャルピーテ(イラストレーター/リトアニア

藤野での滞在制作では、コーネリヤは植物のかけらや虫、種のさやなど、身近な自然の素材を集めて作品づくりのインスピレーションにしてきました。
東京にも何度か足を運び、新しいクラフトやドローイングの素材を得て新たな作品の
制作も開始。
篠原で行われた「ぐるしの」に参加しての小さなワークショップや、レジデンスの庭で自然のかけらを探しユニークなキャラクターを作るワークショップには、子どもたちを中心に多くの方が参加してくれました。
オープンスタジオでは、滞在中に制作したイラスト作品と映像作品を発表します。


RETO PULFER  レト・プルファー (アーティスト/スイス) ※作品展示のみ

布や植物繊維を用いたインスタレーションを多く手がけるアーティスト レト・プルファーは、藤野や上野原、津久井などの地域で日常生活におけるクラフトの役割と価値を探るリサーチを行いました。
竹細工、その他の植物を編んで作るクラフトや組み紐に関連して多くの制作現場に訪れ様々な技術を学ぶとともに多くの作り手と交流しました。
今回のオープンスタジオでは、篠原で行われた「ぐるしの」で制作した地域の竹を組んだ構造体に組み紐などを組み合わせたインスタレーションをレジデンスに移設し展示します。








Kornelija’s Illustration workshop
「コーネリアによるイラストワークショップ」


〜 自然のなかの小さなキャラクターを描こう〜

自然や昆虫を主なモチーフに作品を創作するイラストレーター・コーネリアを講師に、
小さな自然のかけらからインスピレーションをもらって、
オリジナルのキャラクターを生み出すワークショップです。

子どもも大人も楽しめる、ちょっとした発見と創作の時間。
自然と友だちになるような気持ちで参加してみませんか?


【講師】コーネリア・ジャルピーテ(イラストレーター/リトアニア)
【日時】10月18日(土)13:30- 16:30
【場所】MiSHŌ House(日連564)と周辺の自然   駐車場
【対象】5歳以上 12名程度
【持ち物】好きな絵を描く道具、はさみ
【費用】ドネーション

自然のなかには、まだ出会っていないキャラクターがかくれています。

このワークショップでは、石や葉っぱ、どんぐりや小枝など、小さな自然のかけらから
インスピレーションをもらって、オリジナルのキャラクターを生み出します。
まずは外を散歩して、気になるものを見つけて集めます。

次に、そのかけらをよーく観察してみましょう。どんな形?どんな表情?
「この石はねむそうな顔」「この葉っぱは空を飛んでるみたい」…
そんなふうに想像をふくらませていきます。

スケッチは本物そっくりじゃなくても大丈夫。形をシンプルにして描き、
そこからキャラクターの種を育てていきます。最後は想像力にまかせて、
動きや気持ちを加えて自分だけのキャラクターにしてみましょう。










Deep listening Sessions  
James Talambas x Ton

MiSHŌ Residencyの参加アーティストJames Talambasによるディープ・リスニングDJセットに 、
藤野を拠点に活動する音楽家 Tonが独自の音楽体験で呼応するディープ・リスニング・セッション。

アメリカの現代音楽家ポーリン・オリヴェロスの提唱した「ディープ・リスニング」を介して2人のアーティストが生み出すサウンドスケープに耳を傾ける深いリスニングをぜひご体験ください。

    10月11日(土)OPEN 16:30  START 17:00   END 19:00  

    チケット
  1,500円/当日:1,800円  +ドリンクオーダー
 
 【場所】カドナリ






 



MiSHŌ Residency 02 

(September 2025)





                       Anca Croitoru  
                      アンカ・クロイトール
              ミクストメディア・コラージュ・アーティスト



                  
                     Takuya Watanabe
                              渡邊拓也
            映像インスタレーションヴィジュアル・アーティスト

                        Chiharu Mizukawa  
                                   水川 千春
                                   ヴィジュアル・アーティスト
    

  

ANCA CROITORU アンカ・クロイトール   EN

ルーマニア出身のアンカ・クロイトールは、バルセロナを拠点とするミクストメディア・コラージュ・アーティストでありワークショップ・ファシリテーターです。ダダイズムの生々しく直感的な精神に深く共感するアンカは、不完全さと真正さを受け入れ、コラージュを自己発見と感情探求のツールとして用いていてきました。
彼女の創作プロセスは自発性に根ざし、あらゆる制御から自由に心から直に立ち上がる創造的行為として表出します。拾い物やリサイクル素材のみを使用した彼女の制作では、あらゆる紙切れが新たな意味を与えられています。
藤野での滞在制作では、周囲の藤野の風景が自らの内面の風景とどのように共鳴するかを探り新たなコラージュ作品の制作に取り組みます。
また、地域に住む人々と出会い、手書きのメモ、パッケージ、チラシなど、様々な理由から保管された紙製品等を通して、地域の人々の物語の断片の収集を試みます。それらは個人的または共同的なコラージュ作品となり、身の回りの紙素材を通して記憶と感情を保存する創造的な方法として提示されることになります。
滞在中には、アップサイクル・コラージュ・ワークショップも予定され、滞在最終週のオープンスタジオでは、藤野での創作活動の成果を発表する展示を行います。

    関連イベント
    9月7日 (日)「アップサイクル・コラージュ・ワークショップ」
    9月20日(土)・21日(日)オープンスタジオ
 参加型作品コラージュキャンバスを実施予定




 












渡邊拓也 Takuya Watanabe    EN

渡邊拓也は、 主に映像インスタレーションを手がける
ヴィジュアル・アーティストである。移動や労働、人と環境のあいだにある複雑な関係性を主題とし、コミュニティとの関わりや社会状況に対する綿密なリサーチを行う。個人の境遇や身体性、またはそれらを含む風景に埋め込まれた不可視の構造をひもときながら、権力と脆弱性の相互作用を描き出している。リサーチに基づく実践の中核として、これまで複数の国際的なアーティスト・イン・レジデンスに参加。主な滞在歴に、Delfina Foundation(ロンドン、2024年)、SAM Residencies(シンガポール、2023年)、 WIELS Residency Programme(ブリュッセル、2022年)、ARCUS Project 2019 IBARAKI(茨城)などがある。近年の主な展覧会に、《クリテリオム101 渡邊拓也》(水戸芸術館現代美術センター、茨城、2024年)、および《As Above, So Below》TOKAS Creator-in-Residence成果発表(TOKAS本郷、東京、2023年)などがある。
令和7年度文化庁新進芸術家海外研修制度に採択され、2025年から二年間、ロンドンを拠点に活動予定。


PROPOSAL 
本プロジェクトは、「自然」という概念が持つ政治性を明らかにすることを目的とする。自然は中立的で普遍的な存在として語られがちだが、その意味や価値は歴史的・文化的背景の中で形成され、しばしば政治的意図を帯びて利用されてきた。  国内でも、オーガニックや環境保全といった開放的でエコロジー指向の言葉が、国粋主義的な言説と結びつく状況が記憶に新しい。「自然を守る」という提言は、何を守り、何を排除するのかを曖昧にしたまま、特定の価値体系を正当化する力を併せ持つ。その典型例が、ナチス政権下の自然保護政策である。1930年代のドイツでは「血と土(Blut und Boden)」思想のもと、景観保護や有機農業が推進されたが、その内実は民族的純化と国土防衛のイデオロギーと結びついていた。これは「自然」という概念が“善意”や“普遍性”を装いながら排除の論理に転化し得ることを示す事例であり、環境やエコロジーの言説が排外的秩序の装置となる危うさを物語っている。 
こうした概念的な枠組みをより現実的な水準で捉えるために、本プロジェクトでは藤野の里山環境の取り組みと
パーマカルチャーの実践の場をフィールドとする。藤野は、都市近郊でありながら多様な生態系と自給的コミュニティが共存する地域であり、同時に人の手による管理や選択が日常的に行われる場であるとされる。そして、パーマカルチャーセンタージャパンの拠点であり、日本国内のパーマカルチャー運動の中心地である。 
そこで行われる実践者の判断や経験は、どのような法制度・経済的要請・共同体的規範・個人的信条と関係し合いながらなされるのか。言い換えるなら、身体的なものが不可視の概念的な諸条件と分かちがたく存在するのか。そして、人間の行動のみならず「景観」という水準化から見つめた際に、どのような人間ならなざるものとの関係からその諸条件が決定されるのかというより複雑なものも視野に入れたい。 
主に実践者へのインタビューや見学、また可能であれば撮影や共同の可能性を模索したい。 
こうした実践の場に身を置きながら、自然と人間が出会う場における多層的な「自然」像を可視化することを試みる。

関連イベント:
9月20日(土)・21日(日) オープンスタジオ
関連作品のスクリーニング、アーティストトーク(両日15時〜)


















水川 千春 CHIHARU MIZUKAWA   EN
1981年大阪生まれ。2006年よりアートプロジェクトを中心に日本各地で制作を続ける。廃材や生活用水、海水などを用いて作品を制作。国内外で数多くのレジデンス、展示に参加。代表的な作品は、風呂の残り湯、温泉、雨、川、海の水などを使って描き、火に触れることで、水の中のものが焦げ出て絵が浮かび上がる、独自の「あぶりだし」技法で制作されている。これは、かつて日本文化の子供の遊びだったものを、日本現代画の画法へと昇華させたものである。

今回の滞在制作について

これまで20年ほど、廃墟や、閉鎖した工場、戦後の市場など、いろんな場所で滞在制作をして、その土地で採取した水を素材に使い、「あぶりだし」技法で描いてきました。今は、お隣の山梨県に住んでいて、藤野には5年間ほど馴染みがあるのですが、この地での滞在制作ははじめてです。今回は、藤野に流れる、秋山川、相模川、相模湖、そこから行き着く海まで、この場につながる水を素材に使い、この地とあらためて繋がりながら、あぶり絵を制作したいと思います。


     関連イベント:
     9月20日(土)・21日(日)オープンスタジオ 
  20日(土)16時〜あぶり絵ライブパーフォマンス